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とりあえずおすすめの下痢止め薬はこちらです
この中から選ぶ前に、下記の確認をお願いします!
ロペラミドという成分を含む市販薬は、「セルフメディケーション税制対応」です。
処方薬にも同成分薬「ロペミン」があります。
特に好みがなければ、ロペラミドを含む製品から使ってみると良いでしょう。
セルフメディケーション税制について詳しく知りたい方はこちら
表に含まれるもの以外に、下記の薬もロペラミドを主体に「消化酵素」や「プロバイオティクス」「漢方薬」などが組み合わされています。
*ピタリット、ストッパNOM、トメダインコーワ錠、ガロヘパン下痢止め LP
*イノック下痢止め(この製品はロペラミドのみですが、高価なので外しました)
ただ、消化酵素などは特に下痢を止める役には立ちませんので、コスパも考えるとあえてこれらを選ぶ必要はありません。
ちなみに、正露丸は「木クレオソート」という成分が主体です。カテゴリーとしては漢方薬に近いものです。
昔からある薬なので、ある程度の効果はあるのでしょう。
もし以前に使ったことがあって、使用感を気に入っているならどうぞ。
残念ながら、正露丸の効果について質の高い医学研究データには乏しいため、使ったことがない人はあえてオススメはしません。
「感染性胃腸炎では下痢止めを使わない方がいい」とはよく言われることです。
薬で腸の動きを抑えることで、細菌性腸炎において、菌の排出が遅れる可能性があるとされています。
一般論としてはその通りですが、症状によって慎重に下痢止めを使用することがあります。
正直なところ、自分では「感染性かどうかよくわからない」こともあるんじゃないかと思います。
基本的には病院での相談をおすすめしますが、事情により応急処置が必要な場合はトライしても大丈夫です。
(海外で発症し、飛行機で帰国する間、症状を止めておきたいなど)
まず、発熱や血便がないことを確認してください。この症状がある場合は、すぐに病院受診をおすすめします。
そして、添付文書の用法用量を守った上で、「下痢が出たあとに内服」してください。
「出そうだから」と予防的に内服してはいけません。
1-2回使っても改善がない場合は医療機関を受診してください。
下痢の原因
下痢の定義は、24時間で3回以上の軟便〜水様便が出ることです。
下痢の原因は多岐にわたります。ほんの一部ですが、リストを上げてみます。
日本のような先進国内での発症に限れば、感染症の原因のほとんどはウイルス性で自然に軽快します。
また、食べ物や飲酒の影響で下痢が起きることはよくありますし、
下痢を起こしやすい市販薬やサプリメントを飲んでいないかの確認は必要です。
精神的ストレスで腹痛や下痢が起きるのは、過敏性腸症候群寄りの症状と思われます。
薬以外の対処法
水分補給
下痢があるときは、想像以上に体が脱水になるものです。
「経口補水液」を利用して、効果的に水分を吸収できるようにしましょう。
経口補水液の選び方、作り方についてはこちら。
尿量が減っているような明らかな脱水でなければ、
基本的には、「下痢や嘔吐で失った分を経口補水液で飲む」という意識で大丈夫です。
失った分とは別に一日の必要水分量も摂る必要がありますが、それは必ずしも経口補水液でなくても構いません。
こんな選択肢もご検討ください。
特にお子さんの場合は、嘔吐を引き起こさないように「1回小さじ1杯」程度にしておきましょう。
少量を1〜3分おきに飲ませれば、1時間で100〜300mL程度は口にできますよ。
食事
下痢の改善に効果がある食事はまだ明らかになっていません。
しかし、下痢があるうちでも、食べられれば食事から栄養を摂ることで腸の回復が早まると勧告されています(1)。
一般的には下記のような食事が推奨されています(2)。
逆に乳製品は下痢のときは消化吸収が難しいので、避けたほうが良いでしょう。(ヨーグルト以外)
人によっては、感染性腸炎のあとで数週間も乳糖不耐状態が続くことがあります。
整腸剤(プロバイオティクス)の役割
整腸剤は感染性腸炎の下痢の改善には無意味です(3)-(5)。
整腸剤を買うくらいだったら、経口補水液を買ったほうが良いと思います。
感染性腸炎の予防については結論はでていません。
外国(とくに途上国)に旅行される場合に、Lactobacillus GGを含む整腸剤が旅行者下痢症の予防に効果があるという報告があります(6)。
しかし、Lactobacillus acidophilusを含む整腸剤を使った、より大規模な研究では予防効果は示されず(7)、今後の研究が待たれます。
病院に行くべき状況
こんな時には病院受診をおすすめします。
上記のような症状は、対症療法以外の治療が必要になる可能性があります。
「消化器内科」「内科」の受診をおすすめします。
まとめ
上記で紹介した「下痢止め薬の選び方」を実践すると、自分でできる中では最大の効果を得られるはずです。
最後にもう一度内容を確認しましょう。
大切なのは「Do No Harm (害をなしてはいけない)」です。
自分でできることは自分で、悩む場合はぜひ医療機関を受診してくださいね!
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参考文献
(1)Duggan C, Santosham M, Glass RI. The management of acute diarrhea in children: oral rehydration, maintenance, and nutritional therapy. Centers for Disease Control and Prevention. MMWR Recomm Rep. 1992 Oct 16;41(RR-16):1-20. PMID: 1435668. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1435668/
(2)Riddle MS, DuPont HL, Connor BA. ACG Clinical Guideline: Diagnosis, Treatment, and Prevention of Acute Diarrheal Infections in Adults. Am J Gastroenterol. 2016 May;111(5):602-22. doi: 10.1038/ajg.2016.126. Epub 2016 Apr 12. PMID: 27068718. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27068718/
(3)Schnadower D, Tarr PI, Casper TC, Gorelick MH, Dean JM, O'Connell KJ, Mahajan P, Levine AC, Bhatt SR, Roskind CG, Powell EC, Rogers AJ, Vance C, Sapien RE, Olsen CS, Metheney M, Dickey VP, Hall-Moore C, Freedman SB. Lactobacillus rhamnosus GG versus Placebo for Acute Gastroenteritis in Children. N Engl J Med. 2018 Nov 22;379(21):2002-2014. doi: 10.1056/NEJMoa1802598. PMID: 30462938; PMCID: PMC6358014. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30462938/
(4)Freedman SB, Williamson-Urquhart S, Farion KJ, Gouin S, Willan AR, Poonai N, Hurley K, Sherman PM, Finkelstein Y, Lee BE, Pang XL, Chui L, Schnadower D, Xie J, Gorelick M, Schuh S; PERC PROGUT Trial Group. Multicenter Trial of a Combination Probiotic for Children with Gastroenteritis. N Engl J Med. 2018 Nov 22;379(21):2015-2026. doi: 10.1056/NEJMoa1802597. PMID: 30462939. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30462939/
(5)Freedman SB, Xie J, Nettel-Aguirre A, Pang XL, Chui L, Williamson-Urquhart S, Schnadower D, Schuh S, Sherman PM, Lee BE, Gouin S, Farion KJ, Poonai N, Hurley KF, Qiu Y, Ghandi B, Lloyd C, Finkelstein Y; Pediatric Emergency Research Canada Probiotic (PERC) Regimen for Outpatient Gastroenteritis Utility of Treatment (PROGUT) Trial Group. A randomized trial evaluating virus-specific effects of a combination probiotic in children with acute gastroenteritis. Nat Commun. 2020 May 21;11(1):2533. doi: 10.1038/s41467-020-16308-3. PMID: 32439860; PMCID: PMC7242434. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32439860/
(6)Hilton E, Kolakowski P, Singer C, Smith M. Efficacy of Lactobacillus GG as a Diarrheal Preventive in Travelers. J Travel Med. 1997 Mar 1;4(1):41-43. doi: 10.1111/j.1708-8305.1997.tb00772.x. PMID: 9815476. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9815476/
(7)Briand V, Buffet P, Genty S, Lacombe K, Godineau N, Salomon J, Vandemelbrouck E, Ralaimazava P, Goujon C, Matheron S, Fontanet A, Bouchaud O. Absence of efficacy of nonviable Lactobacillus acidophilus for the prevention of traveler's diarrhea: a randomized, double-blind, controlled study. Clin Infect Dis. 2006 Nov 1;43(9):1170-5. doi: 10.1086/508178. Epub 2006 Sep 27. PMID: 17029137. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17029137/