目次
薬の一覧
この記事を読んでいる方には「今、症状がつらい!」という人もいると思うので、説明はあとにして、まずは市販薬の一覧とその値段を書いておきます。
この中から選ぶ前に、下記の確認をお願いします!
これにひっかかる人は自己治療ではなく、病院受診をおすすめします。
治療の基本は抗真菌薬の膣錠です(1)。
基本的には6日間の連続使用が必要ですが、メンソレータムフレディCC1は1回のみの使用で効果が出ます。(効果がすぐ出るというわけではありません。薬が長く効くだけです。)
薬の成分による効果の違いはほぼなく、80%以上の高い効果があります。
記事執筆時点の検索では、フェミニーナが妙に高価なことを除けば、費用面でも大きな違いはありません。
メンソレータムのシリーズには、膣剤を入れるためのアプリケーターがついた製品もあります。タンポンのアプリケーターのようなものです。
自分で入れるのが難しそうな方は、活用してみてくださいね。
名前 | 使い方 | 成分 | 治療1コース あたりの値段 (2023/5確認) | 販売サイト |
---|---|---|---|---|
エンペシドL | 1錠就寝前 6日間連続 | クロトリマゾール 100mg | 2076円 | リンク |
メディトリート | 1錠就寝前 6日間連続 | ミコナゾール硝酸塩 100mg | 2200円 | リンク |
フェミニーナ 腟カンジダ錠 | 1錠就寝前 6日間連続 | オキシコナゾール硝酸塩 100mg | 3080円 | リンク |
オキナゾールL100 | 1錠就寝前 6日間連続 | オキシコナゾール硝酸塩 100mg | 2125円 | リンク |
メンソレータムフレディCC膣錠 | 1錠就寝前 6日間連続 挿入用アプリケーター 付きの製品もあり | イソコナゾール硝酸塩 100mg | 2295円 | リンク |
メンソレータムフレディCC1 | 1錠 1回のみ 挿入用アプリケーター 付きの製品もあり | イソコナゾール硝酸塩 600mg | 3080円 | リンク |
症状が外陰部に広がっていたり、即効性が欲しい場合には、塗り薬を組み合わせてみましょう。
名前 | 使い方 | 成分 | 1gあたりの値段 (2023/5確認) | 販売サイト |
---|---|---|---|---|
エンペシドLクリーム | 1日2-3回 膣剤併用 | クロトリマゾール 1% | 163 | リンク |
メディトリートクリーム | 1日2-3回 膣剤併用 | 1g中 ミコナゾール硝酸塩 10mg | 110.1 | リンク |
メンソレータムフレディCCクリーム | 1日2-3回 膣剤併用 | イソコナゾール硝酸塩 1% | 96 | リンク |
基本的には、塗り薬は単独ではなく膣錠に併用することがおすすめです。
治療の注意点
これって本当にカンジダ?
カンジダ膣炎の症状の特徴は、とても痒いことと、無臭で白くてボロボロしたおりもの(カッテージチーズや酒粕状)が出ることです。
この2つが揃っていれば、かなりカンジダらしいです。
しかし、症状が初めての人は必ず病院を受診してください。
少し前のデータですが、症状を元に病院で検査をしても、4割は違う診断になったという報告があります(2)。自己診断は結構難しいのです。
カンジダ膣炎と診断されたらその症状を覚えておいて、2回目以降に経験をもとに判断してみましょう。
逆に、こんな症状には注意が必要です。
こんな症状がある場合には、婦人科を受診してくださいね!
生理中の場合はどうしたらいいの?
生理中の場合、膣に薬を入れても血液で流れ出てしまいます。
生理中の人や、治療中に生理が始まってしまった人は婦人科を受診してください。
飲み薬で治療する選択肢があります。
何度も繰り返している場合はどうしたらいいの?
治療後2ヶ月以内に再発した人、半年以内に2回以上繰り返している人は婦人科を受診してください。
カンジダ以外の病気が隠れていないか検査をしたり、予防的な薬を使うなどの選択肢があります。
薬はどこで買えるの?
ドラッグストアやECサイトで購入が可能です。
カンジダ膣炎の市販薬は第一類医薬品なので、薬剤師さんと話して症状等を確認してからの購入となります。
ドラッグストアでは一般の棚ではなく、専用のスペースを区切って第一類医薬品や要指導医薬品を置いてあることが多いのではないでしょうか。
店員さんに聞いてみることをおすすめします。
デリケートな話題だし、周りに人がいる中で症状について聞かれたくない...という人はECサイトで購入することになります。
Amazonや楽天など、いろいろな大手サイトで取り扱いがありますが、「すぐに入手できるかどうか」は販売サイトによります。
Amazonでは、注文後に「ご使用者状態チェック」や「お薬の説明と確認」に回答してからの決済です。内容によっては薬剤師からの確認メールが届くことがあり、返信しないと発送されません。決済時の詳しい流れはこちら。
Yahooや楽天はお店によって違いがありそうですが、「注文確認メール」への返信が必須で、返信がお店で確認できてからの発送です。
ECサイトでは実際に届くまで時間がかかるかもしれません。
市販薬を使っても治らない時は?
6日間治療しても治らなければ、婦人科を受診しましょう。その時は、使った薬と期間を先生に伝えるようにしてくださいね。
上でも書きましたが、自己診断は意外に難しいです。そもそもカンジダではなかった可能性や、薬の効きづらいタイプのカンジダがいる可能性などがあります。
カンジダについて知っておきたいこと
どんな病気?
Candida属のカビが皮膚粘膜に感染する病気です。Candida albicansという種が最多ですが、市販の抗真菌薬が広く行き渡るにつれて、市販薬の効きづらいタイプのCandida glabrataも増えてきています。
Candidaは実は約20%の女性の常在菌でもあります。
Candidaがいる = 治療しなくてはいけない というわけではないのです。
実際に症状が出る時には、カンジダの過剰増殖と表層上皮細胞への侵入が起きています。
これが起こるメカニズムには、あなたの体の炎症反応やカンジダの病原遺伝子の発現の変化、その他の常在菌叢の変化が関係していて複雑です。
どんな人がかかりやすいの?
生殖可能年齢の女性に多いです。妊娠中はリスクが上がります。
思春期前の女の子や、閉経後の女性がかかる頻度は非常に少ないため、症状がカンジダらしくても婦人科を受診したほうが良いでしょう。
女性ホルモンのエストロゲンの濃度とカンジダ膣炎の多さには関連があるので、妊娠中だけでなく、閉経後女性でホルモン療法をしている方もリスクは上がります。
また、カンジダは常在菌なので性感染症ではありませんが、性交渉と全く無関係なわけでもありません。
性交渉がある人はない人よりカンジダのリスクは高いです。ただし、性交渉の頻度が多ければ多いほどカンジダが多いというわけでもありません(3)。
どんな性交渉にリスクが大きいのかについての結論はまだ出ていません。
その他、糖尿病のある人、最近抗生剤を使った人、免疫抑制状態にある人(薬やHIVなど)もリスクが高いです。
抗生剤を使うと常在菌に影響が出るためカンジダのリスクが上がるのですが、かといって抗生剤を使う時に乳酸菌製剤を一緒に使っても予防には無意味(4)だということはすでに分かっています。
タンポンの使用や経口避妊薬の使用、子宮内器具での避妊などは、カンジダとの関連に結論は出ていません。
カンジダにかかった人は普段からヨーグルト摂取量が多いという報告もありますが、おそらく再発予防のためにヨーグルトをあえて食べている人も多いので、見かけ上の関連だけなのかもしれません。
男性もかかるの?
カンジダの亀頭炎や亀頭包皮炎にかかる人はいます。
泌尿器科で相談されると良いでしょう。
性的パートナーがカンジダにかかっていないかの評価も必要です。
まとめ
上記で紹介した「市販のカンジダ治療薬の選び方」を実践すると、自分でできる中では最大の効果を得られるはずです。
最後にもう一度内容を確認しましょう。
大切なのは「Do No Harm (害をなしてはいけない)」です。
自分でできることは自分で、悩む場合はぜひ医療機関を受診してくださいね!
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参考文献
(1)Donders GG, Sobel JD. Candida vulvovaginitis: A store with a buttery and a show window. Mycoses. 2017 Feb;60(2):70-72. doi: 10.1111/myc.12572. Epub 2016 Sep 30. PMID: 27687503. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27687503/
(2)Berg AO, Heidrich FE, Fihn SD, Bergman JJ, Wood RW, Stamm WE, Holmes KK. Establishing the cause of genitourinary symptoms in women in a family practice. Comparison of clinical examination and comprehensive microbiology. JAMA. 1984 Feb 3;251(5):620-5. PMID: 6690835. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6690835/
(3)Bradshaw CS, Morton AN, Garland SM, Morris MB, Moss LM, Fairley CK. Higher-risk behavioral practices associated with bacterial vaginosis compared with vaginal candidiasis. Obstet Gynecol. 2005 Jul;106(1):105-14. doi: 10.1097/01.AOG.0000163247.78533.7b. PMID: 15994624. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15994624/
(4)Pirotta M, Gunn J, Chondros P, Grover S, O'Malley P, Hurley S, Garland S. Effect of lactobacillus in preventing post-antibiotic vulvovaginal candidiasis: a randomised controlled trial. BMJ. 2004 Sep 4;329(7465):548. doi: 10.1136/bmj.38210.494977.DE. Epub 2004 Aug 27. PMID: 15333452; PMCID: PMC516107. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15333452/